総合大学の特徴を活かした、スポーツの技術力向上と健康・体力増進の研究を行っている研究所施設です。


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Newsletter Vol.4

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ト ピ ッ ク ス

2017 年度(第1回)「スポーツコンディショニング基礎講座」が開催されました

6月3日(土)、4日(日)の2 日間にわたりスポーツ教育センター、スポーツ医科学研究所主催の「第1回スポーツコンディショニング基礎講座」が開催されました。

本講座は、スポーツ選手が体力トレーニングやコンディショニングを実施する際の指導者およびアスレティックトレーナーとして必要な知識と実技を習得し、競技力向上に寄与するための資質を高めることを目的として開催されています。
当日は、地域の一般の方や他大学の学生、小中学生や高校の指導者の方など多くの方々にご参加いただきました。また、本学のスポーツサポート研究会に所属する学生の初期研修としても位置づけられており、これから競技スポーツに携わるサポートスタッフとして必要な知識や技能に触れる機会となりました。

<講義スケジュール>

6月3日(土)
  1. 講義「スポーツ外傷と応急処置」
    宮崎誠司(スポーツ医科学研究所所長・体育学部武道学科教授)
  2. 講義「筋力トレーニング理論」
    有賀誠司(スポーツ医科学研究所教授)
  3. 実技「筋力トレーニング実技」
    有賀誠司(スポーツ医科学研究所教授)
6月4日(日)
  1. 講義「アスレティックトレーナーの役割」
    花岡 美智子(体育学部競技スポーツ学科准教授)
  2. 講義「スポーツ現場におけるコンディショニング」
    花岡 美智子(体育学部競技スポーツ学科准教授)
  3. 講義「スポーツ選手の食事法」
    長谷川 祐子( スポーツ栄養学研究会・管理栄養士)
  4. 講義・実技「メンタルトレーニング」
    高妻 容一(体育学部競技スポーツ学科教授)

研究所ホームページをリニューアルしました

2017年度4月よりスポーツ医科学研究所のホームページがリニューアルされました。今回のリニューアルに伴い360度カメラによる「施設紹介」や、日々の活動記録を「Instagram」により紹介するなど新たな試みを始めました。また、これまで同様にセミナー・講演情報や、過去に発行した「スポーツ医科学雑誌」のPDF による掲載なども随時行っています。是非ご覧下さい。

東海大学スポーツ医科学研究所ホームページ:
http://www.sms.u-tokai.ac.jp
Instagram:
tokai_spoiken

2017年度スポーツ医科学研究所 新任所員のご紹介

石井 直明 特任教授

■専門分野

老化学、アンチエイジング、健康医科学、放射線生物学

■主な研究テーマ
  1. 老化の研究と老化を抑制するアンチエイジングの研究をしています。特に、線虫、培養細胞、マウスを使い、酸化ストレスが老化を促進する分子メカニズムを研究しています。
  2. 健康長寿実現に必要な因子を調べるために、線虫を使った基礎研究とヒトを使った介入研究をしています。
■主な論文・著書
<主な論文>
  • 「A mutation in succinate dehydrog enasecytochorme b causes oxidative stress and ageing in nematodes. Nature, 394, 694-697(1998)」
  • 「UNC-6, a laminin-related protein, guides cell and pioneer axon migration in C. elegans. Neuron, 9, 873-881 (1992)」
<主な著書>
  • 「老化の生物学」
  • 「アンチエイジング読本」
  • 「分子レベルで見る老化」
  • 「専門医がやさしく教える老化判定&アンチエイジング」
■ご挨拶

東海大学工学部応用理学科原子力工学専攻を卒業後、医学部で42年間教育・研究・管理に貢献し、この度、スポーツ医科学研究所に特任教授として就任しました。専門の老化研究を続ける中で、健康長寿実現のためには栄養と運動が大事であることに気づき、医
学部では主に栄養についての研究を行ってきました。今後はスポーツ医学研究所で運動について学び、国民の健康長寿実現に向けて栄養と運動の両面で貢献したいと思います。

加藤 健志 特任准教授

■専門分野

競泳コーチング、水泳・水中運動、高地トレーニング、トレーニング科学、他

■主な研究テーマ
  1. 世界スポーツ最高峰の祭典オリンピック競泳において「金メダル獲得を懸けたコーチング」を追求しています。
  2. 「競泳における高地トレーニング」の科学的解析を行う事で安全かつ新たなトレーニングの可能性を探求します。
  3. 人間に最も良い運動と言われている水泳および水中運動による、身体に及ぼす生理的影響を分析し、「幅広い人々へ健康づくりのための運動処方の開発」を行っています。  
■主な論文・著書
<主な論文>
「準高地における短期間競泳トレーニングの評価-- ラクテートカーブテストを用いて」
<主な著書>                  
「加藤健志コーチのプールサイドで速くなろう!! 」
■ご挨拶

「オリンピック金メダルへの挑戦」と「人々の健康づくり」という2 つの大きなテーマをここスポーツ医科学研究所で追求したいと思っています。「オリンピック金メダルへの挑戦」から、人は「夢」を持つ事の大切さと、人の可能性は無限大にあり、壮大な夢の実現に向けて精一杯挑み、努力し、最後まで成し遂げる事の重要性を追及したり伝えたりしたいと思っています。また「健康づくり」においては「自らより良く生きる」ための運動・栄養・休養の3 大要素すべてにおいて研究し、社会に広く情報を伝えていく事で、「より良い人間社会創り」に貢献したいと思っています。


健康づくりと筋力トレーニング 有賀 誠司(スポーツ医科学研究所教授)

写真 脚部の筋トレの基本種目「スクワット」

近年、筋力トレーニング(以降、筋トレ)は、子どもから高齢者に至るまで、年齢を問わず積極的に実践されるようになりました。また、筋トレの目的についても、スポーツ選手の体力強化だけでなく、一般の方の健康増進、体型改善、介護予防など、幅の広がりを見せています。

20 年ほど前までは、筋トレに対して「危険」「負担が大きい」といったマイナス面のイメージを持つ人が多い傾向がみられましたが、現在では、「誰でも手軽にできる」「健康増進に役立つ」といったプラスのイメージを持つ人が増えつつあるようです。

筋トレの目的は人それぞれですが、筋トレの健康増進への効果は、以下のように大きく4つに整理することができます。

1.生活習慣病の予防

筋トレの実施によって、血中コレステロール値の改善、糖尿病リスク因子の軽減、心筋梗塞の発症率の低下など、生活習慣病の予防効果が期待できることが確認されています。

2.ロコモや肩こり・腰痛の予防

加齢に伴う筋肉量の減少(サルコペニア)は、筋力や運動能力の低下を引き起こします。筋トレの実践によって、筋肉量や筋力を維持・向上させることは、歩行などの移動能力に支障を引き起こすロコモティブシンドローム(通称ロコモ)や、肩こり・腰痛などの予防・改善に役立ちます。

3.生活動作を快適に

筋トレによって筋力を維持・向上させることができれば、椅子から立ち上がるのに苦労する、手すりにつかまらないと階段を昇れないといった生活動作の機能低下を予防・改善する効果が期待できます。さらに、筋トレによる筋力向上は、市民マラソンや山歩きなどをより高いレベルで楽しむためにも役立ちます。

4.メンタル面の効果

筋トレによって体型改善や筋力アップに成功した人の中には、「生活や仕事が活動的になってきた」、「考え方が前向きになった」といった効果を口にする人が少なくありません。この要因として、自分に対する自信(自尊感情:セルフエスティーム)が高まったことが関係していると考えられています。筋トレの実践は、メンタル面にも良い影響をもたらす可能性があるといえます。
2035 年には、日本の65 歳以上の高齢者人口の割合は、現在の4 人に1 人から3 人に1 人となり、超高齢社会がさらに進展することが予想されています。健康寿命を伸ばし、生涯にわたって生活の質を維持する観点から、筋トレによる健康づくりに対する社会的ニーズは今後より一層高まるものと思われます。

椅子から片脚で立ち上がれますか?

写真 立ち上がりテストの実施風景

運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態を「ロコモティブシンドローム(略称:ロコモ、和名:運動器症候群)」といいます。2007 年に日本整形外科学会は人類が経験したことのない超高齢社会・日本の未来を見据え、このロコモという概念を提唱しました。このロコモの予防啓発のために開発されたのが「ロコモ度テスト」(https://locomo-joa.jp)です。そのテストの一つに下肢筋力を調べる「立ち上がりテスト」があります。高さ40cm の台(椅子でも可)に両腕を組んで腰掛けます。片脚で反動をつけずに立ち上がって3秒キープします。皆さんも是非お試し下さい。これができなければ「ロコモ度1」(移動機能低下が始まっている状態)です。ロコモ度を調べて、健康で活き活きとした生活を送りましょう!(小山)


特集「酸化ストレスと健康」石井 直明(スポーツ医科学研究所特任教授)

酸化ストレスはどのように生じるか?

酸化ストレスとは体が活性酸素に晒されている状態を示します。活性酸素は紫外線やタバコなどの体外からの環境要因でも発生しますが、その多くはエネルギー代謝の副産物として細胞中にあるミトコンドリアから作られます。我々は線虫の一種、Caenorhabditiselegans を用いて、エネルギー産生の経路にあるミトコンドリア電子伝達系複合体II のサブユニットであるSDHC に異常が生じる突然変異体を作成しました。
すると、そこから過剰な活性酸素が発生して寿命短縮を引き起こすことが分かり、世界で初めて老化と活性酸素の関係を遺伝子のレベルで明らかにしました1)。
ミトコンドリアから活性酸素を過剰に発生させた培養細胞では細胞死が起こり、生き残った細胞は遺伝子変異が蓄積しガン化すること、さらにマウスではドライアイなど生活習慣病が生じることを明らかにしました2)。

図1

図1体長1mmあまりの小さな虫であるが、表皮、神経、筋肉、消化器官、生殖器官という動物に必要最小限の体制をもち、ショウジョウバエやマウスと並んで生物・医学の実験モデル動物としての地位を確立しています。

酸化ストレスに負けない身体をつくる

生物はスーパーオキシドデスムターゼ(SOD) などの抗酸化酵素やビタミンC やE などの抗酸化物質など、活性酸素に対する防御機構を進化させてきました。運動はエネルギー代謝を上昇させ、活性酸素を多く発生させてしまいます。しかし、近年、適度な運動により生じた活性酸素がSOD などの抗酸化酵素の遺伝子を活性化し、活性酸素に対する防御機構を強め、健康に寄与することが分かってきました。2009 年に総務省委託事業『ICT 地域活性化「ユビキタス特区」事業の事業化のための実証実験)』において、東京都多摩市にある多摩ニュータウンに運動と健康度の計測ができる施設を設け、住民の協力を得て運動による効果を調べたのですが、予想に反して、毎日運動に来る人ほど健康度が悪くなることが分かりました。これは、脂っこいものを好み、好きなものしか食べないなど、栄養のバランスが取れていない状態で運動した結果によるものでした。栄養のアンバランスは抗酸化物質の不足を招き、また運動により代謝が活発になることで、より必要となるビタミンやミネラル、アミノ酸のような必須栄養素の不足を招くことになります。この研究により、栄養が満ち足りてこそ、運動の効果が得られることがわかりました。

今後も基礎と臨床の面から栄養・運動による健康研究に尽力したいと思います。

図2

図2 ミトコンドリアに存在する電子伝達系を電子が伝達することにより生体エネルギーであるATP が産生されます。同時にこのエネルギー代謝の副産物として活性酸素を発生させ、細胞に傷害を与える原因になります。


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