総合大学の特徴を活かした、スポーツの技術力向上と健康・体力増進の研究を行っている研究所施設です。


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Newsletter Vol.5

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身体運動を科学するスポーツバイメカニクス

1996 年にスタートした総合的なスポーツ医科学支援体制(通称:スポーツサポートシステム)は昨年で20 年目の節目を迎えました。本稿では、今年度より科学サポート部門に新たに加わった「スポーツバイメカニクス分野」について活動概要をご紹介します。

スポーツバイオメカニクスとは、力学や生理学、解剖学の基礎知識を活用して、身体運動のしくみを理解するための応用科学のことです。高速度カメラやフォースプラットフォーム、筋電図テレメータなどを用いて、スポーツ動作を多角的に分析・評価します。

バイオメカニクスの観点としては、以下の3点に大別されます(下図参照)。

  1. キネマティクス(運動学)
  2. キネティクス(運動力学)
  3. エナジェティクス(エネルギー論)

キネマティクスの主要概念は「位置」です。身体部位の位置の変化や形(フォーム)に着目し、力学量を用いないで映像から運動を記述する方法で、ハイスピード映像やスティックピクチャーによる動作分析などがこれにあたります。

キネティクスの主要概念は「力」です。身体あるいは身体内部に作用する力に注目し、運動発現のメカニズムを探る方法です。フォースプレートによる地面反力や、筋電図(EMG)による筋収縮力の計測等がこれにあたります。

エネジェティクスの主要概念は「エネルギー」です。
身体運動という仕事が生理的エネルギーから機械的エネルギーに変換される過程に注目し、運動の効率などを考える方法です。呼気ガス分析により生理的エネルギーを計測したり、筋骨格モデルシュミレーションに
より機械的エネルギーを予測することなどがこれにあたります。

これら3つの観点の測定を同時に行えるのがモーションキャプチャシステムです。次頁では、スポーツバイメカニクスをはじめとした関連の研究室(小河原慶太教授、山田洋教授、内山秀一教授)主催の勉強会報告と、科学的サポート部門におけるサポート事例についてご紹介します。

バイメカを学ぶ「モーキャ部」とは

 「モーキャ部」とは、正式名称WSB(Workshopof Sports Biomechanics)、通称「モーションキャプチャ部」です。モーションキャプチャシステムを使いこなし、研究・教育活動に用いることを目的に、体育学科スポーツバイメカニクス研究室の活動としてスタートしました。

モーキャ部の構成員は、体育学部とスポーツ医科学研究所の教職員、大学院生・学部生のほか、他学部の大学院生や学部生も参加し、毎週月曜日の5時限目に15号館7階共同実験室で開催されています。

テーマは毎週担当者によって決定され、モーションキャプチャシステムの使い方を学びながら、得られたデータを学会発表や論文投稿、修士論文や卒業論文などに繋げています。これまで行われた研究の中には、他大学や他学部との共同研究や、企業からの委託研究など、テーマはスポーツの動作に限らず多岐に渡ります。この勉強会を通じて継続した人材の確保と育成、研究内容の充実や研究環境(ソフト面、ハード面ともに)の維持、向上を目指しています。

スポーツパフォーマンス研究については、学内のクラブ指導者やスポーツサポートシステムの他部門スタッフと連携を図りながら研究を進められます。本学に在籍する日本トップレベルの選手が被験者となり、アスリート自身が研究を通じて自分の動きを多角的な観点から見ることができるようになることも特徴の一つです。

モーションキャプチャによる動作解析の依頼や、モーキャ部への参加申込みは、体育学科スポーツバイオメカニクス研究室までお問い合わせください。以下、これまでにスポーツバイメカニクス関連分野で行われた研究をご紹介します。


スポーツバイオメカニクス分野の研究紹介

側弯症実験 -医学部との共同研究-

動作解析などを用いた総合的な分析による原因不明な側弯症の成因の解明

様々な姿勢における脊柱運動を記録し、
X 線画像等の臨床研究の結果と照合

義足歩行実験 -機械工学科との共同研究-

実験義足・市販義足・健常脚での関節角度や床反力を比較

実験義足・市販義足・健常脚での
関節角度
床反力を比較

箱根駅伝5 区の適正に関する研究

近年、“5 区を制する者は箱根を制す” と言われ、山登りの適正を見極めることが重要課題の一つ

急勾配での走行フォームを測定し、適正を見極め、トレーニングに生かしたい

柔道“内股” に関する研究

世界トップ選手の技のタイミングや力の入れ具合の検討

一流選手の技術の解明により、
指導法の構築や戦術構築、傷害予防などに役立てたい

バスケ"フローター・シュート" 研究

フローター・シュートとは低身長選手でもブロックを避けて打てる新しいシュート技術

新しい技術について、動作の特徴を明らかにし、
指導法を構築したい

器械運動の補助方法に関する研究

体操の補助動作のコツを解明し、
今後の体育指導に生かしたい


スポーツ教育センタースポーツ課より
フィットネスセンターの利用方法が変わりました

フィットネスセンターでは、多くの方が利用しやすい環境作りを目指し、
2017年秋学期から運用方法を次の通り変更しています。ご理解とご協力をお願いいたします。
2018年4月から100分授業に伴い、開館時間が変更される予定です。決まり次第、ご連絡いたします。

利用時間2部制の伴う完全入れ替え制

1部:
16時50分~18時40分(18時50分までに退室)
2部:
19時00分~20時45分(20時55分までに退室)

※最終受付は終了時間の30分前までとなります。
※曜日や時間帯は変更する場合もあります。

受付整理券の配布

受付開始の30分前よりフィットネスセンター前で整理券(100 名分)を配付します。
1・2部の受付開始時は整理券の番号順にご案内します。

  • 1部:16時20分頃より
  • 2部:18時30分頃より

ベンチプレスの予約時間制

ベンチプレスは予約制・時間制となります。
予約板(ホワイトボード)にロッカーNo.を記入ください

※1枠30分を限度
※1枠に3人まで同時に予約可
※スクワットラックでのベンチプレスは禁止


特集日本を笑顔で元気に!
オリンピックの競泳金メダルに懸ける夢への挑戦と水中運動の実践研究を通して人々の健康を科学する

加藤 健志(スポーツ医科学研究所准教授、水泳部監督兼ヘッドコーチ)

水泳・水中運動って!?

水泳はオリンピックの花形、日本のお家芸と言われるほど日本では馴染みの深いスポーツ競技です。また水泳を含む水中運動は未就学児および小学生の習い事では断トツ1 位で約22%もの子供たちが参加しており、国民全体で見ると年間1000 万人を超える人たちが参加しているほど大人気の運動種目なのです。理由は様々ですが、水泳は全身運動であり、全身バランスよく鍛えられる事、心肺機能向上および平行感覚の育成に適している事、水難事故を防ぐために子供の頃に泳げるようにしたい、水泳が出来るとかっこいいなどが動機になっているようです。

水中運動の可能性

生まれてすぐの赤ちゃんから高齢者まで、また体力が高い、低いに関係なくあらゆる人が取り組める唯一の運動種目なのです。それは「水」の持つ4つの特性がその他の陸上運動と明確に異なる特徴を生み出しています。

  1. 浮力=関節への負荷を軽減します
  2. 水圧=血液の流れを良くし、心肺機能向上に貢献します
  3. 水の抵抗=適度な筋への負荷を掛け、筋力向上に適しています
  4. 水温=体温調整能を高めます

特に関節が痛い、体力が低い、運動が得意ではない人々の健康つくりに貢献出来ます。またハンディキャップを抱えた人々にとっても安全かつ様々なトレーニングが実現可能です。

今後も水泳でオリンピック金メダルに挑戦する事と、水中運動を通して健康作りを追求し続ける事で、沢山の人々が笑顔で元気になれるよう尽力したいと 思っています。

オリンピックとは

東海大学で10 年間トレーニングを続けた卒業生金藤理絵選手が2016 リオデジャネイロオリンピック競泳200m 平泳ぎで金メダルを獲得。

オリンピックの精神は、「スポーツを通して心身を向上させ、文化・国籍などさまざまな違いを乗り越え、友情、連帯感、フェアプレーの精神をもって、平和でよりよい世界の実現に貢献すること」にあります。

4年に一度世界中の人々とルールに則って75 億人の頂点を懸けた闘い!大きな夢や可能性への挑戦から生まれる人類の新たなる一歩。東海大学スポーツ医科学研究所もオリンピックに挑戦し続ける事でより良い人類社会創りに貢献出来るようなメッセージを配信し続けたいと思っています。


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東海大学スポーツ医科学研究所

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FAX: (スポーツ医科学研究所事務室)
0463-50-2046

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